目次
- 品質で日本の顧客を魅了したバニラコ
- 日本の消費者心理を捉えたローカライゼーション戦略
- 「バニラウィーク」で自社の競争力を強化する方法
- メガ割の効果を最大化するための予告期間の活用法
- 新製品の販売にはメガポを活用!セールを賢く利用する方法
品質で日本の顧客を魅了したバニラコ
―Qoo10に出店した理由を教えてください。
Qoo10はK-Beautyに特化したプラットフォームであり、日本で韓国化粧品に対する需要が高いことを考えると、最適な選択でした。
実は、バニラコは2009年にすでに日本市場に進出した経験があり、その間、再販業者を通じて商品が販売され、日本国内でも認知度を築いていました。 しかし、再販業者では販売する商品群が限られていたため、公式ショップを通じて様々な商品を紹介したいと考えていました。
日本でまずオフライン店舗をオープンし、その後2022年8月にQoo10に出店しました。すでにオフラインでの運営経験があり、日本市場での認知度もあったため、オンラインとオフラインの両方を同時に展開することが効果的だと考えました。
しかし、市場やトレンドの変化が非常に速いため、現在はオンラインを主軸に、オンラインで成功した商品をオフラインでも宣伝するように戦略を調整しています。Qoo10で成功した商品が日本市場で成功する可能性が高いと判断しており、Qoo10での成果を基に日本市場全体にブランドの存在感を広げていく予定です。
―現在、Qoo10での販売状況や売上はどのようになっていますか?
2024年には前年比で3倍の成長を達成しました。特に、2024年7月に開催された「メガポ」では、売上が前年同月比で600%も成長しました。他の日本のECチャネルと比べても、Qoo10での売上が圧倒的に高いです。
この成果を達成できた最大の理由は、「メガ割」に特化した戦略によるものです。メガ割期間中には通常の売上の10倍にまで増加し、多くの商品が売れることで、通常時の売上も2~3倍に伸びました。
Qoo10は、新商品を積極的に受け入れる若い世代が多く集まる場であり、購買意欲の高い顧客が多いため、新商品を最も早く紹介できるプラットフォームです。顧客からのフィードバックも非常に迅速に得られます。新商品をいち早く販売し、レビューを即座に反映させることで、若い顧客層を中心にブランドの認知度を高めています。
―多くの顧客がバニラコを愛する理由は何でしょうか?
多くのお客さまに支持される最大の理由は、商品の優れた品質と継続的な研究開発の取り組みにあります。代表的な商品である「クレンジングバーム」は、18年間にわたり愛され続けており、これは顧客のニーズに応じて成分や配合を絶えずアップグレードしてきた結果です。
日本のお客さまは、単に有名なブランドだからという理由だけでなく、実際に使用した際の満足度を重視しています。そのため、商品の品質を絶えず向上させ、顧客のフィードバックを積極的に反映して完成度を高めることが重要と考えています。
このような継続的な品質向上が、ブランドの信頼性を高め、リピート購入につながる要因です。 最近では、より多くの方に商品を試していただくために、商品のシーディングを積極的行っています。まずは商品を実際に見ていただくことで、興味を引くことができると考え、物流会社と連携しておまけの組み合わせを拡充し、お客さまとの接点を増やしています。
日本の消費者心理を捉えたローカライゼーション戦略
―バニラコは多くのメガヒット商品を持っていますが、特別なノウハウはありますか?
メガヒット商品を生み出せた理由はいくつかありますが、特にバナーデザインや商品ページ、キャッチコピーを日本向けにローカライズしたことが成功の鍵だと思います。
まず、商品ページやバナーデザインを日本の顧客の好みに合わせることが重要です。日本の消費者は韓国の消費者よりも詳細な説明を好み、情報量が多いページを信頼する傾向があります。そのため、商品説明を詳しく提供することが大切です。
また、「限定品」という要素を強調することも効果的です。日本の消費者は限定という言葉に敏感で、これは地域限定のお土産が人気であることと同じ理由だと思います。
実際に2024年6月のメガ割で数量限定の商品を販売したところ、予想以上に早く完売し、多くの関心を集めました。その後、2024年9月のメガ割では「6月に購入できなかったお客さまのためのアンコール」キャンペーンを行い、大きな効果を得ました。
「バニラウィーク」で自社の競争力を強化する方法
―他のショップと差別化するための独自の戦略はありますか?
競合店との差別化を図るために、「バニラウィーク」といった独自のプロモーションを定期的に実施しています。バニラウィークは、メガ割やメガポのような大規模イベントとは別に、お客さまに継続的に割引特典を提供するための戦略の一つです。これにより、ブランドロイヤルティを高め、メガ割以外の時期でも商品をお得に購入してもらうことを目指しています。
また、当社のブランド品を販売している他の店舗との差別化を図るために、「ショップクーポン」やプレゼントなどの特典を活用し、公式ショップを利用するお客さまに特別なメリットを提供しています。具体的には、公式ショップ限定のセット商品や特別なプレゼント、専用クーポンなどを通じて、公式ショップで購入するメリットを提供しています。
さらに、日本のお客さまは商品だけでなくサービスの質も重視するため、迅速で的確な対応やアフターフォローを行い、顧客満足度を最大化することが重要です。実際、他のショップでの購入に満足できなかった方が、公式ショップで再購入するケースも少なくありません。このように、ブランドの信頼度を高めることが差別化戦略の一環となっています。
―商品ページを作成する際に特に注意していることはありますか?
商品ページを作る際には、特に「サムネイル画像」と「商品名」の構成に注意を払っています。モバイル環境では、顧客は商品を探す際にテキストよりも視覚的な要素に注目する傾向があるため、目立つサムネイルデザインが非常に重要です。
Qoo10の「クリーンキャンペーン」規定に従ってサムネイルを制作することで「商品ランキング点数」が上がることは知っていますが、サムネイル画像は商品購入率に直接影響するため、情報を最大限に伝えられるように制作しています。特に、商品の重要な特徴が一目でわかるようにデザインしています。日本の消費者はテキストの多い説明を好む傾向があるため、簡潔なフレーズを添えて主な特徴を強調することが効果的です。
例えば、「期間限定」「人気商品」「数量限定」といったキーワードを使って緊急性を強調することで、購入率を高めることができます。
また、商品名も重要な要素です。顧客が商品の機能や特徴をはっきりと理解できるように、商品の主成分や効果を盛り込むことが有効です。単に「クレンジングバーム」とするのではなく、「しっとり保湿クレンジングバーム」や「低刺激のディープクレンジング」といった商品の強みを強調するフレーズを加えると、顧客の関心を引きやすくなります。
メガ割の効果を最大化するための予告期間の活用法
―メガ割をどのように活用し、どのような戦略が効果的でしたか?
メガ割は売上を大幅に増加させる大きなチャンスです。通常の売上の10倍に達することもあるほど強力な影響力を持っているので、これを効果的に活用するためにメガ割の3ヶ月前から徹底的に準備しています。
メガ割を成功させるために最も重要なのは告知期間(Qoo10でメガ割に対して本格的なメディア広報を開始する期間)です。多くの方は、メガ割が始まる前に商品を「カート」や「お気に入り」に入れておき、セールが始まるとすぐに購入する傾向があります。
そのため、告知期間中に顧客の関心を引くための積極的なマーケティングを行います。例えば、バナーを設定して商品をカートに入れるように促します。これにより、メガ割の初日と2日目にランキング上位に入ることを目指します。商品がランキング上位に表示されるほど、多くの方の注目を集め、購入率を高めることができるため、セール時の売上の最大化に直結します。
また、メガ割は商品ごとにクーポンが使えるため、顧客が他のブランドではなく自社ブランドの商品にクーポンを使うように、事前に対策を講じる必要があります。そのため、告知期間にはSNSを最大限に活用しX、Instagram、LINEなど日本で人気のあるプラットフォームでメガ割の対象商品情報を事前に公開し、限定割引や特別なプレゼントを提供するプロモーションを通じて、購買意欲を刺激します。
さらに、顧客のニーズに合わせた特別限定パッケージやカスタマイズされたセット商品も、メガ割の売上増加に重要な役割を果たしています。過去には「星夜 エディション」や「スプリングエディション」といったシーズン限定パッケージや、人気のベースメイク商品をまとめたセットが好評でした。
日本の若い顧客層をターゲットに、ポーチなどかわいい限定商品のプレゼントイベントも実施し、客単価を上げ、購買頻度を増やすことに成功しました。
―若い女性顧客層にアピールするためのSNS活用のヒントはありますか?
若い顧客層にアピールするために、さまざまなSNSチャンネルを積極的に活用しています。特に、日本で多く利用されているメッセンジャープラットフォームLINEを使って、顧客との接点を強化しています。LINEは日本で日常的に使用されるメッセンジャーであり、ブランドの最新情報を迅速に伝えるための強力なマーケティングツールです。
また、XやInstagramといったSNSでも定期的に情報を更新し、投稿を行うことで、バニラコの認知度を高めるよう努めています。特に、メガ割の告知期間には、限定商品をSNSで事前に宣伝し、関心を引くようにしています。これにより、顧客が情報を「リポスト」することにつながり、自然な口コミ効果も期待できます。
さらに、SNSでのお客さまの反応を観察し、より良い商品やサービスを提供するために継続的に改善しています。日本ではレビューや口コミを特に重視するため、お客さまの反応を細かく分析し、商品に反映させることが重要です。バニラコに対するフィードバックだけでなく、有名なビューティーアカウントをモニタリングし、反応の良い企画や構成を参考にしてマーケティング戦略を最適化しています。
新製品の販売にはメガポを活用!セールを賢く利用する方法
―メガポをうまく活用する秘訣を教えてください。
メガポは新商品を販売する絶好の機会として活用しています。「メガポで新商品販売」というフレーズはインパクトがあり、顧客の認知度を高める効果があります。通常、メガポはメガ割の前に開催されるため、メガポで新商品を先に販売することで、顧客の反応を確認し、それに基づいてメガ割のマーケティング戦略を最適化することができます。
新商品をメガ割で大々的に販売するのはリスクがあることがあります。なぜなら、顧客の反応が予想と異なったり、マーケティング戦略がうまく機能しなかったりすると大きな損失を招く可能性があるからです。
しかし、メガポで新商品を先に販売することで、その商品に対する顧客の反応を事前に把握し、それに基づいて割引率の調整やプレゼント内容の変更など、さまざまな戦略を調整することができます。
―広告をどのように活用していますか?
「Mega AD」「タイムセール」「キーワードプラス」「パワーランクアップ」など、ほとんどすべての広告を利用しています。特にキーワードプラスはROAS(広告費用対効果)が高いため、積極的に活用しています。
商品を検索するお客さまは購買意欲が高いので、注文につながりやすいです。お客さまが商品を見つけやすいように、広告を使って商品を上位に表示させています。
キーワードプラスは入札形式の広告なので、適切な予算内で最大の効果を得るために調整が必要です。競争が激しい「ビッグワード」では、入札の開始価格が高く、上位に表示するためには落札価格が高額になります。しかし、Qoo10の人気キーワードリストをしっかりと分析することで、低価格でも効果の高いキーワードを見つけることができます。
メガ割では、価格が高くてもクリック数が期待できるビッグワードでキーワードプラスを設定しています。上位16位までに表示されるので、必ずしも1位を狙わなくても良いという考えのもと入札価格の状況や予算に応じて、柔軟に広告を設定しています。
―これから出店する方へのアドバイスをお願いします。
どのカテゴリーの商品を扱うにしても、日本で販売したいなら、Qoo10に出店するのがおすすめです。特に、Qoo10の多くのお客さまは韓国に興味があり、韓国商品がよく売れます。そのため、積極的なマーケティングやブランドの差別化を行えば、良い成果が期待できます。
Qoo10に出店することで、日本市場での経験を増やし、専門的な知識を深めることができます。