
目次
- 「基本に忠実」というスキンケア哲学で日本市場へ挑む
- 製品力を軸にしたレビュー主導の信頼マーケティング
- 「メガデビュー」が示した、ブランド哲学を体験に変える第一歩
- ターゲットに特化したコンテンツ企画で実現する、インディブランドならではの差別化戦略
- 真摯さを貫き、ブランドへの信頼を築くことを目指して
「基本に忠実」というスキンケア哲学で日本市場へ挑む
―ブランドのご紹介をお願いします。
beiskinは、無刺激でありながらも、「基本に忠実で高い効果をもたらすスキンケア」を哲学とするクリーンビューティーブランドです。肌に本当に必要なものだけを追求し、肌本来の力を引き出す真のケアを目指しています。
ブランドの原点は、代表者自身の肌悩みにあります。アメリカ留学中、長くニキビに苦しんでいましたが、弱酸性クレンジングを使うことで目に見える改善を実感しました。しかし当時の韓国では同様の製品が手に入りにくかったため、自ら開発を決意し、ブランド誕生へとつながりました。
ブランド名「beiskin」は「Base+Skin」に由来し、肌の基本的なバランスを取り戻すケアを届けたいという想いが込められています。また、持続可能な美の実現を目指し、全製品に最大100%リサイクル容器を採用。不要なプラスチック削減のために環境配慮型素材を積極的に導入するなど、環境保護への取り組みも続けています。
さらに、公式サイトにおけるリピート率は平均60〜70%に達しており、多くの顧客から高い信頼と満足を得ているブランドです。

―日本市場に進出した理由、そして数ある選択肢の中でQoo10を選んだ理由は何でしょうか?
beiskinは、ブランド立ち上げ当初から製品力で評価されたいという明確な方針を掲げてきました。派手で一時的なマーケティングではなく、時間をかけて実際に製品を体験したお客さまからの信頼とリピート購入によって成長していくブランドでありたいと考えています。
この理念に最も合う市場が日本だと判断しました。日本の消費者は購入前に成分を丁寧に確認し、実際の口コミを慎重に参考にする傾向が強く、製品そのものの力で勝負できる市場です。そのため、無刺激かつ高機能なスキンケアは誠実に受け止めてもらえると確信しました。
Qoo10は韓国コスメ需要が高い日本を代表するECモールであり、市場の反応を素早く把握できるプラットフォームです。特に、日本のお客さまからのフィードバックを直接得られるため、言語表現・ビジュアル・使用感など、ローカライズに必要な要素について貴重なインサイトを得る重要な窓口となっています。
また、出店を検討していた時期にQoo10の営業担当の方がbeiskinの哲学を深く理解し、誠実な提案と実践的なアドバイスをくださったことも大きな決め手となりました。ブランドの目指すトーンや方向性に強く共感していただけたことで、メガデビュープログラムを通じて自然な形で日本市場への第一歩を踏み出すことができました。
さらに、私たちは、まず一つの場で顧客レビューと信頼を積み重ね、その後段階的に拡大するという戦略を掲げています。そのため現在も日本市場ではQoo10に限定してショップを運営し、ブランド価値をしっかりと伝え続けています。
製品力を軸にしたレビュー主導の信頼マーケティング
―Qoo10で高い評価を得ている代表的な製品と、その人気の背景についてお聞かせください。
現在、Qoo10ではコラーゲンマスクとチャーガオイル製品が特に高い評価をいただいています。日本のお客さまは、使用後すぐに肌の変化を実感できるような高機能・集中ケアアイテムを好む傾向があり、これら2製品を中心とした高保湿・弾力ケアのラインアップが大きな支持を集めています。
beiskinは市場ごとの消費者ニーズを的確に反映し、国別はもちろん販売チャネルごとにも主力商品の構成を調整する戦略を取っています。特に近年、日本の20〜30代の消費者の間でスローエイジングやアンチエイジングへの関心が着実に高まっている点に注目し、関連商品のマーケティングを強化してきました。
こうした現地ニーズに合わせた柔軟な商品展開の結果、韓国では日焼け止めやセット商品が人気を集める一方、日本ではチャーガオイル単品をはじめとするアンチエイジング中心の製品群が高い販売実績を示しています。実際、直近の「メガポ」プロモーションでは、チャーガ3種セットが大きな反響を呼び、好調な結果を収めました。

―ショップ運営において特に重要視しているマーケティングのポイントは何ですか?
私たちが最も重視しているのは、レビューを軸にした信頼型マーケティングです。ブランドの哲学そのものが製品力で評価されることに基づいているため、派手な広告よりも、実際に製品を使ったお客さまから生まれる自発的なレビューやフィードバックを大切な資産としています。
その一環として、Qoo10の「サンプルマーケット」といったマーケティングツールを積極的に活用し、新規顧客が実際に製品を体験できる機会を提供しました。その結果、自然と信頼性の高いレビューが蓄積されていきました。
このようなレビュー重視のアプローチは、単なる短期的な露出効果にとどまらず、ブランドの哲学を効果的に伝え、顧客にポジティブな第一印象を残すきっかけになったと考えています。実際に十分なレビューが集まった後には、新規ブランド育成プログラムメガデビューにおいて、主要製品6種がQoo10ランキングにランクインする成果を上げました。その後も高いリピート率と安定した自然流入につながり、持続可能な成長の基盤を築くことができました。
また、日本のお客さまは製品そのものの品質だけでなく、ブランドが発信する世界観や哲学、さらには持続可能性といった要素を含む心と価値のバランスに注目する傾向があります。単なる機能や成分だけではなく、製品に込められたメッセージやブランドが追求する価値を丁寧に見極める消費者が多いため、当社もマーケティング全般において、こうした感性的な要素を十分に考慮しています。
「メガデビュー」が示した、ブランド哲学を体験に変える第一歩
―メガデビューに参加した背景と、その過程で最も重点を置いた戦略は何でしたか?
Qoo10への出店を検討していた際、営業の担当者から新規ビューティーブランドを日本のお客さまに効果的に紹介できるメガデビュープログラムをご提案いただきました。日本市場に初めて参入するブランドにとって大きなチャンスだと判断し、出店当初から同プログラムへの参加を積極的に検討することになりました。
メガデビューにおける最大の戦略ポイントは、第一印象の設計でした。Qoo10のランキングページには華やかなサムネイル画像が多く並ぶ中、当店はあえてその逆を行き、要素を極力削ぎ落としたミニマルなデザインを採用しました。シンプルで洗練されたイメージがかえって際立ち、ブランドの本質を効果的に伝える結果となりました。
さらに「商品詳細ページ」の冒頭には製品デモンストレーション動画と体験者レビューを配置しました。レビューのない化粧品は購入をためらわせるという前提のもと、サンプルマーケットを通じて事前にレビューを蓄積し、信頼性を高めました。
また、メガデビューで披露する製品を選定する際には、ブランド哲学と日本市場のニーズの両方を反映させました。韓国公式サイトでリピート率70%を記録したマイルドジェルトゥフォームクレンザーを中心に、コラーゲンマスク、チャーガ水分オイル、ビタアンプルといった高機能集中ケアアイテムを組み合わせ、beiskinが掲げる「基本に忠実な高効能スキンケア」を日本のお客さまに誠実に届けることを目指しました。

―メガデビューを通じて、実際にどのような成果を得られましたか? また、その経験はブランドにとってどのような意味を持ちましたか?
メガデビューを通じて、私たちは期待を大きく上回る成果を得ることができました。当初はブランド認知を高める機会をつくる目的で参加しましたが、ローンチ初日だけで約400万円の売上を記録し、投下予算の5~6倍に相当する成果を上げるなど、想定を超える結果となりました。
特に意義深かったのは、こうした成果がメガデビュー以外の追加広告を一切行わず、ブランド哲学を反映したコンテンツとレビュー重視の戦略だけで実現できた点です。実際に製品を使ったお客さまのレビューや体験に基づくコンテンツが中心となり、これは単なる宣伝を超えて、信頼を築く有効なコミュニケーション手段として機能しました。
結果としてメガデビューは、新規ブランドを支援するプログラムという枠を超え、ブランド哲学を顧客体験へとつなげる大きな第一歩となりました。そして現在も、この哲学を軸に据えながら、日本市場に合わせたコミュニケーションを継続しています。
ターゲットに特化したコンテンツ企画で実現する、インディブランドならではの差別化戦略
―beiskinのコアターゲット層はどのような人々でしょうか? また、その層を取り込むためにどのような戦略を展開されましたか?
beiskinのコアターゲット層は市場によって多少異なります。韓国では、「젊줌마(チョムジュンマ)」と呼ばれる、30〜40代の自己管理に積極的な既婚女性層が中心となっています。家族や子どもの世話をしながらも、自身の肌の健康やライフスタイルを重視する主体的な消費者であり、成分や効果に対して明確な基準を持ち、リピート率が高い点が特徴です。
一方、日本ではより幅広い年齢層のニーズに対応するため、製品ごとにターゲットメッセージを細分化する戦略をとっています。たとえば、20〜30代向けには「スローエイジング」「低刺激の美白」「メイク前の水分補給」といったキーワードを、40代以上向けには「老化改善の臨床試験済み」「コラーゲン・抗酸化を中心とした集中ケア」といった関心事に即した表現を用い、それぞれの年代のニーズと製品特性に合ったコンテンツを制作しています。
さらに、Qoo10内のカテゴリー別にコンテンツを展開することで、日本の顧客との接点を広げています。こうした取り組みを支えるために、Qoo10内でのカテゴリー別ベストセラー分析、レビューキーワードの収集、インフルエンサーコンテンツの反応分析、プラットフォーム流入データの解析など、多角的なトレンドリサーチを行っています。
これらのデータを基に、年齢・関心領域・消費パターンに応じたコンテンツを企画し、当店ならではの差別化された方法で顧客との信頼関係を築いています。
また、コンテンツ制作の過程ではChatGPT、Claude、Perplexityなどの生成AIツールも積極的に活用しています。AIは単なる翻訳補助にとどまらず、日本の消費者がよく使う美容関連表現や、Qoo10内で反応の良いキーワード、さらに誇張せず感性に響く自然な言葉や表現を反映することで、より説得力のあるコンテンツを構成する役割を果たしています。
これにより、現地の消費者との言語的な距離を縮めることで、より洗練され、共感を得やすい形でブランドイメージを伝えられると考えています。

―新興ブランドとして市場での認知度を確保するために採用されたマーケティング戦略は何ですか?
最初に重視したのは、単なる露出ではなく、いかに信頼感を持ってブランドメッセージを伝えるかという点でした。beiskinは創業初期から国ごとの一律な戦略ではなく、チャネルごとの最適化を優先しており、日本市場も一つの国として捉えるのではなく、各流通プラットフォームの顧客特性や反応に応じて、サムネイルや詳細ページの構成、コンテンツのトーンを細分化して企画することを基本方針としています。
また、製品の特徴を単に技術的に列挙するのではなく、なぜこの製品が自分に必要なのかを顧客が直感的に理解・共感できるメッセージ設計に注力しました。ブランドに初めて触れる瞬間から信頼を築けるよう意識しています。
マーケティング手法についても、韓国と日本で異なるアプローチを採用しています。韓国ではVlogやチャレンジ企画、ルーティン動画といったコンテンツを通じ、共感から購入へという流れを構築することに注力。一方、日本ではレビュー、実演動画、洗練された説明を重視し、情報収集→信頼形成→購入という購買プロセスに沿ったコンテンツを展開しています。
実際にQoo10では、製品実演動画をサムネイルに組み込み、商品詳細ページの冒頭に体験レビューを配置することで、初めて訪れた顧客の不安を和らげ、製品への信頼を高める仕組みを整えました。つまり、単なる広告ではなく体験を通じた信頼形成、そしてチャネルごと・市場ごとの購買フローに合わせたカスタマイズ型コンテンツ戦略こそが、ブランド認知を拡大させた原動力だったと考えています。
―Qoo10内で活用すると良い広告や機能があれば、教えてください。
イベント期間外でも「ショップクーポン」を継続的に活用し、顧客の流入促進と購買転換を図っています。単なる値下げではなく、ターゲットに合わせて割引率や有効期間を綿密に設計することで、顧客にとって価値のある特典として受け取ってもらえるよう工夫しています。
さらに、「タイムセール」プロモーションも定期的に実施し、非イベント期間でも安定的に売上を伸ばせる仕組みを構築しました。これにより、顧客には望むタイミングで商品に触れられる環境を提供しつつ、社内的には露出頻度と購買転換率を両立させながら、安定した売上の維持に注力しています。

真摯さを貫き、ブランドへの信頼を築くことを目指して
―長期的な目標について教えてください
Qoo10を通じて、日本市場におけるブランドへの信頼を確かなものにすることが最大の目標です。その基盤の上に、単なるオンライン販売にとどまらずオフラインチャネルへも展開し、日本のお客さまの肌悩みや日常生活に実際に役立つブランドとして確立していきたいと考えています。
また、Beiskinの雰囲気に合わせたポップアップイベントを準備中です。日本の美しい桜の季節に開催することで、お客さまにより楽しく、心に残る特別な体験を提供したいと考えています。今後もさまざまなイベントを企画していきます。
これからも真心を込めて製品をつくり、お客さま一人ひとりの体験を通じて着実に信頼を積み重ねていけば、長く記憶に残るブランドになれるのではないかと期待しています。
―日本市場参入を目指す他ブランドに向けて、先に経験された立場からアドバイスをいただけますか?
私たちもまだ歩み始めたばかりで、日本市場と顧客について常に学び、模索している最中です。そのため、アドバイスというよりは、小さな経験を共有する気持ちでお話ししたいと思います。
何よりも大切なのは、あまりにも早い成果を期待するのではなく、最初の顧客との信頼関係をどう築いていくかだと考えています。beiskinも過去4年間、主に公式サイトでブランドを運営してきましたが、ブランドが一方的に多くを語るよりも、お客さま自らがブランドについて語ってくださる時こそ、真の成長が始まるということを学びました。
派手な広告よりも心からの口コミ、短期的な成果よりもリピート購入につながる製品力、そして短い文章であってもお客さまが共感できるコンテンツが大きな力を持つと信じています。もちろん各ブランドによってアプローチ方法は異なりますが、日本の顧客も韓国の顧客と同様に、手頃な価格で良い製品を見つけたいという想いは同じだと感じています。
私たちもまだ学びの過程ではありますが、ブランドが誠実な姿勢で一貫したメッセージを発信し続ければ、必ずその想いに共感し、応援してくださるお客さまと出会えると信じています。
