【Dr.G】「選択と集中」でヒット商品を育てる

皮膚科学に基づく研究によって皮膚科専門医が開発した、ゴウンセサンコスメティック社の代表ブランド「Dr.G」。多くのヒット商品によって、韓国では「国民的化粧品」として定着しているDr.Gは、Qoo10を通じて日本市場で過去最高の売上を更新し、着実に成長を続けています。日本市場で成功を収めるまでの取り組みについて、クォン・ユリ日本事業チーム長に伺いました。

目次

  1. 成功の秘訣は「選択と集中」
  2. ローカリゼーションとリパッケージングで日本の顧客を魅了
  3. 日本でも通じた韓国の定番商品
  4. メガ割で売上&ブランド認知度の両方をアップ
  5. 1つのヒット商品に集中

成功の秘訣は「選択と集中」

―日本に進出したきっかけをお聞かせください。 

コロナ禍で特にオフライン営業が難しくなり、世界的にEC市場が急成長したため、2021年に日本市場への参入を決めました。 

「日本市場を開拓したいのであれば、Qoo10への出店が必須である」という定説が業界に浸透しています。それだけ影響力が大きく、重要なプラットフォームであるため、日本進出にあたっては、最初にQoo10に出店しました。

―Qoo10での販売はいかがですか?

Qoo10での販売状況は非常に順調で、今後も大きな期待をしています。楽天市場にも出店して販売していますが、Qoo10での売上が圧倒的に高いです。そのため、Qoo10にリソースを集中しようと、2023年まで日本で運営していた自社ECサイトを閉じるという戦略的な判断を行いました。

そして、元々は海外事業チームの中に日本事業チームがありましたが、成長ポテンシャルが高い日本市場にさらに集中するために、2023年11月に日本事業チームが新設され、人員も拡充されました。

自社ECサイトを閉じ、人員を拡充し、一つの主力商品「スージングクリーム」に「選択と集中」をすることによって日本市場でのブランド認知度を高め、シェアを拡大する戦略です。

ローカリゼーションとリパッケージングで日本の顧客を魅了

―Dr.GがQoo10で人気の理由は何だと思いますか?

Dr.Gは韓国では高い認知度を誇る国民的なコスメですが、Qoo10を通じて2021年に初めて日本市場に参入し、日本市場で本当にイチからやり直すという気持ちで大々的に整備しました。

まず、日本市場に特化した新しい商品を継続的に開発し、商品ページやパッケージも韓国と違って日本市場に合わせてローカライズ(現地化)しています。日本の消費者の好みやニーズを反映して商品を開発し、現地の文化に合ったマーケティングを展開することで、より大きな共感と反響を得ることができました。

シーズンごとに新しいパッケージを作り、新商品を継続的に発売することで、お客さまが商品を新鮮に感じ、期待を持ってもらえるようにしました。

また、買いたいビジュアルを持つ商品を作ることに注力しています。例えば、3月のメガ割ではシークレットガーデン、6月のメガ割ではシークレットオーシャンをコンセプトにした夢のようなパッケージを制作し、化粧台に置いたときにインテリアの小道具としても使えるようなビジュアルを提供しています。

製品力も重要な人気要因です。皮膚科専門医によって作られたブランドであり、独自の研究所を持ち、多くの臨床試験を経て製品を開発しています。「肌テストAI」を発売し、お客さまの肌タイプに合わせた製品をおすすめし、製品の品質を追求しています。

日本は花粉アレルギーでマスクを使う方が多く、肌が敏感になりやすい環境なので、低刺激の成分を配合した製品力が認められていると思います。

また、日本のコスメ専門誌「LDK the Beauty」において、A+評価を獲得した日焼け止め3~4商品のうち、Dr.Gの日焼け止めが2商品も選ばれ、その優秀さが認められました。 また、コスメ研究者出身の美容専門ユーチューバーである「すみしょう」が選んだ日焼け止めランキング上位20位以内にランクインしました。 

多方面で品質の良さが認められ、日本国内での口コミが広まり、売上にもつながりました。

そして、顧客ロイヤリティが高く、リピーターが多いのも特徴です。ショップの「レビュー」を見ても、「再購入」のコメントが本当に多く、お客さまが実際に商品を使用して投稿したレビューが他のお客さまの購買意欲を刺激する効果をもたらし、好循環につながっています。

―今の成功を支えてきた具体的な販売戦略は何ですか?

韓国で確立されたDr.Gの優れた製品力が日本市場でも通用すると信じていましたが、日本市場での進出当初は多くの競合ブランドがすでに市場に定着していたため、私たちのブランドを効果的に知らせることに苦労しました。

Qoo10のお客さまにDr.Gを認知させるためには、時間と手間をかけること以外に近道はないと考え、諦めずに継続的に商品を改善し、様々なマーケティング活動を行いました。

お客さまが無料で商品を体験できる「サンプルマーケット」で商品を提供するだけでなく、商品を購入したお客さまにも他の商品を試せるようにサンプル品を惜しみなく同梱し、Dr.Gの優れた製品力を知ってもらえるように努力しました。

特に2024年からは、Qoo10を主力チャネルとして、さらに注力することを決定し、Qoo10でしか購入できない「Qoo10 Only」商品を発売しました。 そして、Dr.Gを楽しく新鮮に感じていただけるよう、商品のリパッケージング(パッケージのリニューアル)を行い、商品群を拡大しました。

このような取り組みが実を結び、2024年6月に行われたメガ割では、前年同期比182%という過去最高の売上を達成することができました。一生懸命に準備した部分が良い結果につながったことを嬉しく思います。

日本でも通じた韓国の定番商品

―売上が大きく伸びたきっかけは何ですか?

スージングクリームが大ヒットし、ブランド全体の売上を大きく牽引しました。Dr.Gのスージングクリームは、韓国のストア「OLIVE YOUNG」で3年以上1位を獲得した定番商品として、多くの韓国のお客さまからその効果を認められた商品です。

日本は韓国よりも気温や湿度が高いため、お客さまはクリームよりも化粧水やアンプルを好む傾向があります。そのため、スージングクリームを主力商品として打ち出すことが適切な方向性かどうかについて、社内で多くの議論が交わされました。

しかし、韓国の女性は肌がきれいなことで知られており、このスージングクリームが韓国でどれほど愛用されているかを商品ページに記載し、実績を強調しました。クリームの必要性を丁寧に説明することで、お客さまに商品を効果的に訴求することができました。

スージングクリームの製品力を信じて集中した結果、多くのお客さまにその価値を認めていただけたと思います。

―商品ページを作成する際に特に気をつけていることはありますか?

商品情報を詳細かつ明確に伝えることに重点を置いています。日本市場ではまだ韓国ほどDr.Gの認知度が高くないので、できるだけ詳しい説明を通じて、お客さまが商品について十分に理解し、購入決定に必要な情報を提供できるように努めています。

特に、日本のお客さまは商品ページを非常に細かく確認する傾向があります。商品ページに商品の特徴、使用方法、臨床データなども詳しく記載しており、お客さまの疑問を解消できるよう、レビューを反映したQ&Aのコーナーも設けています。

お客さまにより正確で分かりやすい情報を提供するため、商品ページを定期的に更新しています。お客さまとのコミュニケーションを強化し、購入の選択をサポートするために、常に商品ページを最新の状態に保つようにしいます。

―Qoo10の競合他社や競合商品は、主にどのような部分を確認しますか?

ECモールで競争力を持つためには、競合他社の分析は必須だと思います。毎日Qoo10のサイトランキングをチームメンバー全員でチェックしています。

ランキングで新しく浮上した商品があるかを確認し、目新しいコンセプト、コラボ、サムネイル画像デザイン、企画構成など、ランキングに入っている商品を全体的に見て、ベンチマークできる部分がないかチーム内で共有し、活発な議論をしています。

競合商品のレビューのコメントや評価点(5点満点)など、お客さまの声もモニタリングしてお客さまの反応や好みを把握し、これを基に自社商品とマーケティング戦略を改善しています。

メガ割で売上&ブランド認知度の両方をアップ

―メガ割の効果はどうですか?

メガ割は平常月の10倍以上の売上になるほど重要な役割を果たしています。海外事業と直接関係のない他のチームも注目するほど、会社全体から多くの注目と期待が寄せられています。

特に、今回2024年6月のメガ割では、2023年同期比182%の成長を記録し、過去最高の売上を達成しました。メガ割が終了した7月も通常の2倍以上の売上を達成することができました。

このような結果は、Qoo10のメガ割が単なるセールを超えて、ブランドを成長させ、価値を高める非常に重要な機会であることを示しています。単にメガ割期間中の売上向上にとどまらず、ブランド認知度向上にも寄与しています。

―メガ割を成功させる秘訣は何ですか? 

メガ割の期間には、多くの新規顧客がQoo10を訪れるため、特に様々なマーケティング活動を行います。メガ割に合わせて「Qoo10 Only」限定パッケージを制作し、新商品を発売します。新規のお客さまだけでなく、既存のお客さまにも興味を持っていただけるよう、いつもフレッシュな印象を提供するための工夫をしています。

また、平常時よりも広告に多くの費用を投じ、インフルエンサーとのコラボを行い、より多くのお客さまにDr.Gを知らせるために努力しています。

インフルエンサーとのコラボは、広告単価がやや高くなる傾向がありますが、商品を訴求する上で非常に効果的です。Dr.Gを愛用しているインフルエンサーとコラボしているので、インフルエンサーを通じて、より真摯に説得力を持って商品を紹介することができます。

私たちのブランドと相性の良いインフルエンサーとは、長期的なコラボレーションを行っています。普段からDr.Gを利用していて、彼女たちのフォロワーの年齢層が私たちのターゲットと一致する方は、より積極的に商品を紹介してくれるので、口コミで顧客認知度を高める効果があります。

―主にどのような広告を活用されていますか?

 QSM(販売管理ツール)内で活用できる広告は全て活用しています。「キーワードプラス」、「タイムセール」、「パワーランクアップ」はほぼ基本的に活用しており、メガ割の時は広告により多くの費用をかけています。

―記事、動画、セミナー等のショップ向けコンテンツを提供する「Qoo10大学」を利用することはありますか?

はい、Qoo10大学で開催されるオンラインセミナーは欠かさず視聴するようにしています。販売戦略やノウハウを学ぶ上で非常に効果的です。

―Qoo10で販売するメリットは何ですか?

QSM(販売管理ツール)が韓国語にも対応していることが大きなメリットです。韓国語版のガイドもあるので理解しやすく、担当営業も韓国人の方なのでコミュニケーションがしやすく、韓国ショップにとって非常に良い環境です。

担当営業が他のECモールよりも丁寧にフィードバックしてくれますし、ECモールの目線での改善提案はとても参考になります。

1つのヒット商品に集中

―Qoo10で販売するショップにアドバイスをお願いします。

様々な商品をたくさん売りたいという気持ちは誰しも同じですが、ヒット商品を1つ生み出すことが一番大事です。まず1つの商品をヒットさせることで、ブランド認知度を上げるだけでなく、リピーターを増やすことができます。

そのため、どれを主力商品にするかを決め、活用できるすべてのリソースを集中してヒット商品に育てることをおすすめします。

―Qoo10に期待することはありますか?

すでに十分に急成長しているQoo10ですが、他のECモールで販売する必要がなくなるくらい、今後さらに大きく成長してほしいです(笑)。

Qoo10の潜在成長力と可能性を信じているので、私たちも引き続きもっとQoo10に集中して頑張っていきたいと思います。Qoo10と一緒に成長していくことで、Dr.Gが日本市場でより確固たる地位を築くことができるといいですね。