
目次
- 急成長、売上が四半期ごとに50%増
- 6か月の事前準備と顧客レビューの確保が売上を後押し
- 「キーワードの関連性」を考慮した戦略的広告運用
- 日本市場攻略の核心は「信頼」
- 日本市場で押さえておきたい広告表現のポイント
急成長、売上が四半期ごとに50%増
― Qoo10に出店したきっかけを教えてください。
韓国国内の主要チャネルでリリーイブ製品がお客さまから高い評価を得て、成果を上げたことで、海外市場での展開にも手応えを得ました。そこで、韓国市場と顧客特性が近いと判断した日本を最初の進出先としました。
中でもQoo10は美容関心度の高い顧客が多く、韓国ブランドが成功を収めてきた実績が豊富であったため、最優先で出店を決定。現在も日本ではQoo10に限定して販売を続け、同プラットフォームでの成長に集中しています。
―現在、Qoo10での販売や売上はどのような状況ですか?
今年の第1四半期だけで昨年の年間売上をすでに達成するなど、非常に急速な成長を遂げています。Qoo10での売上は、四半期ごとに50%以上増加し、まさに「階段を上るような成長」を示しています。これは単なる数値の上昇ではなく、安定した成長基調を継続していることを意味します。こうした好調な流れを維持するため、今後もQoo10への注力を一層強めていく方針です。
―Qoo10での人気の要因は何だとお考えでしょうか?
最大の成功要因は、戦略的なアプローチと迅速な対応にあると考えています。Qoo10は顧客の反応や最新トレンドを素早く確認できる環境が整っているため、これを活用して継続的にA/Bテストを行いました。反応が芳しくないコンテンツは即座に差し替え、反応の良いコンテンツはさらに強化して次の段階へ発展させる、というサイクルを繰り返してきました。
この戦略を象徴する事例のひとつが「セルターンクリーム 」です。韓国ではフェイスラインのケア商品として知られていましたが、日本ではボディケア用としても人気を獲得しました。競争の激しい顔用マッサージクリーム市場ではなく、未開拓のボディマッサージクリーム市場をブルーオーシャンと捉え、マーケティングの方向性を切り替えたことで大きな成果につながりました。

また「グローターンアンプル 」についても、当初は40代以上の抜け毛に悩む層をターゲットとしていましたが、A/Bテストの結果、20〜30代の顧客が育毛やより美しく見られたいというニーズに強く反応することが分かりました。
そこで、毛にボリュームを与えて顔が小さく見えるといった美容効果を前面に打ち出す形にマーケティングを修正しました。
Qoo10は美容への関心が高い顧客が多いため、常に美容との関連性を強調することが重要です。そのため、コラボレーションにおいてもヘアインフルエンサーより、ビューティーインフルエンサーを中心に起用する戦略を取っています。
6か月の事前準備と顧客レビューの確保が売上を後押し
―売上拡大のきっかけとなった要因や、成果につながった具体的な戦略についてお聞かせください。
6か月間の事前準備期間を設け、十分な顧客レビューを確保できたことが、ショップの急成長につながりました。日本の顧客は比較的慎重な傾向があるため、出店初期にレビューが不足していると購入を促しにくいと判断しました。
そこでまずは、インフルエンサーに製品を提供して使用レビューを発信してもらう「シードマーケティング」を実施し、SNSや日本最大級の化粧品レビューサイト「@cosme」でレビューを積み上げることに注力しました。こうしてSNSに蓄積されたレビューは、Qoo10での売上増加やプラットフォーム内でのレビュー拡大にも直結しました。
同時に、SNS公式アカウントの運営も強化し、製品や成分に関する情報を継続的に発信しました。フォロワーが少ない立ち上げ期は即効性を期待するのではなく、将来の安定した成長に向けた基盤づくりとして取り組みました。
こうした努力の結果、出店後2回目となる2024年9月の「メガ割」で大きな成果を収め、続く11月のメガ割では、さらにその2.5倍にあたる売上を記録することができました。

―メガ割はどのように活用されていますか?
メガ割期間中の売上は、通常期の4~5倍に達しています。メガ割の売上比率が非常に大きいため、この期間の売上最大化を最優先の目標としています。メガ割は日本有数の大規模セールイベントとして定着し、現在も成長を続けていることから、今後のさらなる拡大を期待しています。
また、日本の顧客の多くはメガ割で20%割引が受けられることをすでに認識しているため、単なる値引きだけではなく、特別な特典や企画セットを用意することで他店との差別化を図っています。
Qoo10では「メガ割」と「メガポ」のどちらかのイベントが毎月開催されており、商品のリピート購入サイクルとイベントのタイミングが合致することで相乗効果を生んでいます。1+1といったセット商品の企画は贈答用としても好評で、多くの顧客に利用されています。さらに、たくさん使うほど早く効果を実感できるという点を強調することで、継続的なリピート購入にもつなげています。
―メガポはどのように活用されていますか?
当社の製品は品質の高さから、一度ご利用いただいたお客さまが継続して購入される傾向が強く、高いリピート率を維持しています。そのためメガポでは、新規顧客の獲得に重点を置いたマーケティングを展開しています。
昨年7月のメガポでは、SNS上で数多くのA/Bテストを行い、効果が検証されたコンテンツを活用することで、20〜30代の新規顧客の獲得に成功しました。こうして新規顧客を取り込み、その後のメガ割やメガポで再購入につなげる好循環をより生みだしていくことが、私たちの重要な目標となっています。
「キーワードの関連性」を考慮した戦略的広告運用
―広告はどのように活用されていますか?
現在は、外部からのトラフィックを呼び込める「Meta広告」と「Single One広告」に最も多く投資しており、今後はインフルエンサー施策やQoo10内部広告の活用も段階的に拡大していく計画です。
内部広告では主に「掘り出し物」と「キーワードプラス」を活用しています。掘り出し物はQoo10の営業担当者を通じて実施可能な広告で、メインページに商品を露出できるため効果が非常に高い広告です。またキーワードプラスも効率が良いため常に活用しており、外部広告やインフルエンサーマーケティングで反応の良かったキーワードを中心にテストしています。
キーワードプラスは、上位3位以内での表示を目標とし、「ヘアケア」のような大きなキーワードよりも女性育毛剤や女性用抜け毛ケアといった具体的で細分化されたキーワードの方が、実際の流入効果が高いことが分かっています。
さらに、SNS広告や体験レビューで流入した顧客がQoo10内で商品を見つけやすいよう、導線づくりにも力を入れています。関連性の低いキーワードや下位表示では、外部広告で誘導しても顧客が商品を見つけられず離脱する可能性があるため、広告設計は戦略的に行っています。
実際、有名ビューティーインフルエンサー「メメロン」とのコラボレーションでは「ぺったんこ」というキーワードが話題となり、このキーワードを広告に活用することで、外部トラフィックを効果的にQoo10へとつなげることができました。

―SNSで顧客に響くコンテンツを作るために、意識していることはありますか?
最も重要なのは、顧客のニーズを的確に把握することです。SNSやレビューを通じて、顧客が何を求め、どのような悩みを抱えているのかを理解した上で、それを自社の商品とどう結びつけるかを考える必要があります。
たとえばグローターン育毛ケアアンプルを20〜30代の顧客に訴求する際には、まず彼女らが関心を持つ美容室のトレンドやヘアスタイルに関する悩みを徹底的に調査しました。その過程でうねり毛に悩む人が多いことを把握し、この点を強調したコンテンツを制作したところ、顧客から良い反応を得ることができました。
さらに、「Qoo10ランキング」や@cosme、Instagramといった複数のチャネルで競合商品のレビューを確認し、20〜30代の顧客が共感するキーワードを抽出してコンテンツに反映することも効果的です。
日本市場攻略の核心は「信頼」
―商品ページを作成する際に重要視している点はありますか?
韓国での商品名は、「グローターン育毛アンプル」 ですが、Qoo10では「ボリューム」「髪質」「後れ毛」の改善を訴求するヘアケア製品として打ち出しています。商品ページを作成する際も、「抜け毛ケア」といった機能性よりも、頭皮ケアを通じて得られる美容効果に焦点を当てました。
日本の顧客は商品の信頼性を重視する傾向があるため、その点を強化する工夫も行っています。すでにOlive Youngは日本でも広く知られているため、リリーイブが韓国国内の同店舗で1位を獲得した実績を積極的に活用しました。商品ページの冒頭では、Olive Young 1位やブランド大賞エンブレム、インフルエンサーの活用事例などを掲出し、信頼感を高めています。
さらに商品詳細ページでは、日本の顧客の購買傾向に合わせ、成分や作用の仕組み、得られる効果を具体的かつ丁寧に説明することに注力しました。また、キーワードプラスやSNS広告で使用しているキーワードが、商品ページでも明確に伝わるよう設計しています。

―日本市場と韓国市場の違いを感じますか?
韓国と日本の顧客特性には、大きな違いが見られます。韓国の顧客はInstagramを通じて自分の姿をアピールすることに重きを置くのに対し、日本の顧客は実際の使用レビューや日常生活に寄り添った投稿により強い関心を示します。
そのため、日本のSNS投稿を分析することで、人気の成分や実際の使い方など、マーケティングに活かせる多くのヒントを得ることができました。
さらに、日本の顧客は購入時に信頼性を最も重視します。誇張された広告表現や刺激的なコピーにはむしろ不安を感じ、「PR」という表記にも敏感に反応します。韓国では複数の商品を比較するレビューコンテンツが活発ですが、日本ではそのようなPR色の強いコンテンツを好まない傾向があります。
信頼性重視の姿勢は、購買前の情報収集にも表れます。日本の顧客は韓国の顧客に比べ、購入前に多くの情報を検索すると言われています。そのため当社では、あらゆる購買経路において十分な口コミが蓄積されて初めて信頼を得られると判断しました。
この考えから、リリーイブの商品を初めて体験する顧客を増やすことを目標に、SNS体験モニターやインフルエンサーへの製品提供を積極的に展開し、可能な限り多くのチャネルでレビューを集めるよう努めています。
こうして得られる顧客の声は、ブランドが一方的に発信する情報よりもはるかに高い説得力を持ち、ポジティブなイメージを育むことにつながります。さらに単にレビューを集めるだけでなく、継続的にモニタリングを行い、否定的な意見も積極的に受け入れることで、商品品質やサービス改善にも反映しています。
日本市場で押さえておきたい広告表現のポイント
―日本市場で販売を始めた当初、最も苦労した点はどこでしょうか?
日本市場進出の初期に直面した最大の課題は広告表現でした。韓国では顧客の好奇心を刺激し、即座に反応を得ることが重視されますが、日本では法的規制や文化的な背景から、直接的な表現を避ける必要がありました。
特に「薬機法」(医薬品・医療機器などの品質・有効性・安全性を規制する法律)では、Before & After写真のように臨床結果を直接示す表現が禁止されています。こうした刺激的な表現は、法的に問題となるだけでなく、日本の顧客からも好意的に受け取られません。そのため、製品の効果を間接的に伝える適切な表現を見つけることが大きな難題でした。
この壁を乗り越えるために、日本のインフルエンサーやQoo10の営業担当者から継続的に助言を受け、日本市場の特性と文化に合ったマーケティング戦略を立案・修正し続けてきました。

―今後出店を検討している企業やブランドへのアドバイスをお願いします。
Qoo10は、新規ブランドが最も早く成長できるプラットフォームだと考えています。日本の美容系プラットフォームの中でも特に大きな影響力を持ち、美容への関心が高い顧客が多く集まっているため、他のチャネルと比べてマーケティング効果が早く表れるのが特徴です。
さらに、トレンドに敏感な美容消費者のデータを素早く把握し、マーケティングに反映できる環境が整っています。加えて、条件をクリアすると韓国語でやり取りできる営業担当者がつくため、現地市場に関する専門的なアドバイスを直接受けられるのも大きな強みです。
活発なフィードバックを通じて日本市場に最適化した戦略を構築でき、その結果、迅速な定着と大きな成長を実現できます。日本進出に課題を感じているブランドにとって、Qoo10が提供する多様な支援は大きな助けになるはずです。
