【SKIN1004】インディーズブランドが過去最高の売上を達成した秘訣は「真摯さ」

インディーズブランドとしてスタートし、わずか2年でメガブランドへと急成長を遂げたSKIN1004は、日本の美容市場で確固たる地位を築いています。日本市場への進出当初から一貫した独自性とマーケティング戦略でファンダムを構築しました。日本の消費者の心をどのようにつかんだのか 。その成功の秘訣を、「K-Beauty」業界で注目を集めるクレイバーコーポレーション日本事業チームのハン・ジヒョンチーム長に伺いました。

目次

  1. オープンから2年で年商10億円を突破
  2. K-BeautyファンがSKIN1004を愛する3つの理由
  3. インフルエンサーマーケティングは真摯さがカギとなる
  4. セット商品を活用してメガ割の売上が10倍に成長
  5. 主力商品でブランドアイデンティティを確立する

オープンから2年で年商10億円を突破

―Qoo10に出店したきっかけを教えてください。

SKIN1004は2022年に日本市場に進出し、Qoo10に店舗をオープンしました。飽和状態にある韓国市場を打破するため、戦略的に海外市場に注力し、特に東南アジアやアメリカなどの英語圏で大きな成功を収めました。

日本市場はKビューティーに関心を持つ顧客が多く、非常に魅力的でした。しかし、日本語という言語の壁があったため、他国よりも日本進出は遅れていました。それでも、日本市場を新たな挑戦と捉え、日本国内で強い影響力を持つQoo10への出店は、必然の流れでした。

―現在の売上はどのような状況ですか?

Qoo10に出店してから2年目となる2024年には、年商10億円を超え、過去最高の売上を達成しました。特に、2024年第4四半期の「メガ割」では、2週間で3億円以上の売上を記録し、メガ割初日の販売ランキングで2位にランクインしました。

今後も高い成長率を維持しながら、ブランド認知度を高め、顧客基盤のさらなる拡大を目指します。そのため、Qoo10を中心としたオンラインチャンネルに注力するとともに、LOFTやPLAZAなどのオフライン店舗の拡大を進め、オンラインとオフラインの両面からの強化を図る予定です。

K-BeautyファンがSKIN1004を愛する3つの理由

―Qoo10で人気の理由は何だと思いますか?

より多くのお客さまに愛されるために、主に3つの点に注力しています。

まず一つ目は、質の高い商品を競争力のある価格で提供することです。弊社の人気シリーズ「CENTELLA」は、こだわりのマダガスカル産のツボクサエキスをベースに製造しており、その優れた鎮静効果が高く評価されています。高品質な商品を手頃な価格で提供することは、顧客の信頼を得て、リピーターを増やすための重要な要素です。

次に、ブランドファンダムの構築に力を入れています。弊社が急成長した背景には、顧客に対して真心を込めて一貫したブランドメッセージを伝えてきたことがあります。長期的に支持されるブランドを作るためには、ファンダムを築くことが重要です。

大自然をモチーフにしたブランドストーリーとビジュアルコンセプトを通じて、ブランドの哲学を伝えています。このようにして、ブランドを愛するファンダム顧客層の拡大に努めています。

最後に、口コミを活用したオーガニックな広報活動を行っています。顧客の購買満足度が高まることで、自然とブランドのファンが増え、オーガニックの広報につながります。商品を注文してから開封するまでも顧客体験の大切な一部であるため、パッケージデザインにも力を入れています。持っていることを自慢したくなるようなビジュアルを作り上げるために、日々研究を重ねています。

そして、商品を使用したお客さまが自然と口コミを広められるように、体験型シードマーケティングを積極的に活用しています。お客さまのリアルな体験談は、商品の魅力を証明し、他の方々の購買意欲を高める効果があります。そのため、お客さまが手軽に商品を試せる環境を整え、実際に使用したお客様からの口コミが自然に広がるように促進しています。

―ブランドを急成長させるための特別な秘訣はありますか?

出店当初は、限られた予算でスタートしましたが、その中で効率を最大限に追求し続けた結果、現在の成功を収めることができたと考えています。少ない予算でも効率を上げる努力を続けることで、売上が増え、それに伴ってより大きな予算を活用できるようになるという好循環が生まれます。

特にインフルエンサーマーケティングを積極的に活用し、ブランド認知度の向上に努めました。Qoo10の「コンテンツAD」を活用することもあれば、直接インフルエンサーに連絡を取ってコラボレーションを行うこともあります。

インフルエンサーを管理している会社を通じて広報を依頼することもありますが、商品をインフルエンサーに無償で提供するなど、実際に商品を体験してもらう機会を作ることが、初期段階でブランドを広めるために効果的でした。

インフルエンサーマーケティングは真摯さがカギとなる

―インフルエンサーマーケティングを行う際に重要視していることはありますか?

インフルエンサーを通じた商品の広報では、単なる広告ではなく、インフルエンサーによる実際の使用体験に基づいた信頼性のあるレビューを重視しています。商品の広報を依頼する際にも、コンテンツに対する顧客の信頼を高めるために、弊社の商品だけでなく、他のブランドの商品も併せて紹介しています。

他のブランドは競争関係であると同時に、Kビューティー市場を拡大する上で重要な共存協力関係であると考えています。

―日本市場で取っているローカライジング戦略はありますか?

強力なブランドアイデンティティは、市場でブランドを差別化するための重要な競争力となります。そのため、弊社は世界中で一貫したブランドアイデンティティを維持するために、ローカライズを行わず、韓国語の商品ページをそのまま日本語に翻訳する方法を採用しています。

ただ、日本の商品ページの構成方法には注意を払っています。日本では、「商品写真-顧客の悩み-商品説明-使用感テクスチャ-顧客レビュー」の順番でページが構成されていることが多いです。 日本のお客さまは、このような構成をより親しみを感じ、信頼しているため、現地の特性を反映して、商品ページに顧客の悩み、レビューなどを追加しています。 

セット商品を活用してメガ割の売上が10倍に成長!

―メガ割はどのように活用していますか?

「メガ割」、「メガポ」などのQoo10の強力なプロモーションは、ブランドの成長に大きく貢献しました。メガ割の売上は、通常の2倍に達し、2024年には前年のメガ割と比べて10倍にまで拡大しました。

メガ割では、日本の高い送料を考慮し、お客さまが複数の商品を一緒に購入できるように商品を組み合わせてセットにしています。この際、顧客が求める商品を企画することが重要です。セット商品でも顧客の反応が違うため、消費者の反応データを分析し、最も売れる商品でセットを構成し、集中的に宣伝します。

メガ割は単なるプロモーションではなく、ブランド認知度を高め、成長を促す機会です。顧客の購買意欲を刺激するため、メガ割開始の3ヶ月前からギフティングキャンペーンなどを通じて商品を継続的に露出させ、プロモーションに積極的に予算を投じています。

メガ割期間中、ショップ内でトップ5に入った商品を人気商品とみなし、それをもとに次のメガ割に向けたマーケティング戦略を立てます。また、ショップの人気商品がメガ割全体で20位以内にランクインするヒット商品に成長した場合、次のメガ割では、ヒット商品に加え、新しい商品にも徐々に予算を投入し、第2のヒット商品を育成します。

このように、常にヒット商品を維持し、新たなヒット商品を発掘することで、各商品の成長を促進する好循環を生み出しています。

―主にどのような広告を使用していますか?

「タイムセール」と「キーワードプラス」を主に活用し、トラフィックの増加を図っています。

ただし、キーワードプラスは入札制で運営されているため、上位掲載を狙うと広告費が高くなり、ROAS(広告収益率)が低下する可能性があるため、状況に応じて使い分けています。特にメガ割では、入札価格が高くなるため、上位10位以内の掲載を目標にしています。

また、「Single One AD」を利用して、既にQoo10を認識しているコア顧客にターゲティングしたSNS広告を効果的に活用しています。Qoo10の担当営業から提案された広告やインフルエンサーとのコラボレーションが可能な「Contents AD」も活用し、露出の最大化を図っています。

主力商品でブランドアイデンティティを確立する

―これから出店するショップへのアドバイスをお願いします。

Qoo10は、日本のオリーブヤングと言えるほど、Kビューティーへの影響力と認知度が高いです。商品ページが作りやすく、レビューが溜まりやすい環境が整っているため、参入障壁が低く、すぐに販売を始めることができます。

新規出店を考えているショップへのアドバイスとしては、ブランドを象徴する主力商品を開発し、それに注力することです。 

流行に応じて異なる商品を作り、複数の商品を同時に宣伝するのではなく、「そのブランドは何が有名なの?」という問いに答えられるブランドアイデンティティを築くことが重要です。

また、大きな予算がなくても諦めずに、限られた予算内で最大限の効率を追求する姿勢が求められます。シードマーケティング、サンプルマーケットを積極的に活用して、顧客に商品を直接体験してもらう機会を増やしましょう。